chottoshitahanashi’s diary

基本的に間違ったことばかり書いてるブログ。検索ひっかかるな

電流帰還バイアス回路と負帰還

前回の続き。
ここのループゲインの記述を見て悩みに悩みに悩みになやんだけどやっと書いてあることが理解できた。
追記:このエントリはまとまってないので
こちらに記載。


まず直流のみを考える。
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更に簡略化
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変数が多いと目が散るんでVbeは0.6固定とする。
Vb=Ve+0.6=ReIe+0.6=(Ib+Ic)Re+0.6=(Ib+βIb)Re+0.6=(1+β)IbRe+0.6
Ib=(Vcc-Vb)/R2-Vb/R1
の2つから計算
Ib=Vcc/R2-(1/R1+1/R2)Vb
(1/R1+1/R2)=1/R, R= 1/(1/R1+1/R2)=R1R2/(R1 + R2)とおいて
Ib=Vcc/R2-Vb/R=Vcc/R2-(1+β)IbRe/R-0.6/R
つまりRe, R1, R2の効果によりIbは-(1+β)IbRe/Rの負帰還がかかる(この式をIbについてまとめるとIbを決定する式が出てくるが本議論に不要なのでやらない)。
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このうち(1+β)がトランジスタ自体のゲインなので残りはRe/R、これをHとする。
9 負帰還、ここによりクローズドループゲインは(1+β)/(1+(1+β)H)。ベース電流が同じ場合エミッタに抵抗を入れない場合の開ループゲイン1+βの1/(1+(1+β)H)倍になる(実際にはベース電流が小さくなりそれが1+β倍され、コレクタ電流は「エミッタ抵抗がない場合」のベース電流の(1+β)/(1+(1+β)H)倍になる、書き方ややこしい)。
β>>1なので1+β≒β
Ie≒β/(1+βH)Ib
さらに(1+β)H)>>1のとき
Ie≒β/(βH)Ib=1/HIb
ゲインは1/Hとなってベータ非依存となりベース電流が変化しない場合コレクタ電流はHつまりReとR,つまりRe, R1, R2のみで定まる。つまりβのばらつきや温度変化に強くなる。


ベース電流がβのばらつきによってふらつくと仕方ないので次にベース電流のコントロールについて考えてみる。先ほど議論に不要と書いた部分を真面目に考える。
Ib=VccR2-Vb/R=Vcc/R2-(1+β)IbRe/R-0.6/R
Ib=(Vcc/R2-0.6/R)/(1+(1+β)Re/R)
0.6/R≒0, 1+β≒βとして
Ib=Vcc/(1+βRe/R)R2
更にβRe/R<<1となるようRe, Rを選び
Ib=Vcc/R2
なのでβRe/R<<1を守ればベース電流はIb=Vcc/R2としてコントロール、安定させることができる。
Vcc/R2はR2に流れる電流なのでこれがほとんどベース側に流れると。
簡略化された電流帰還バイアス回路ではR1が省略されるとどっかでみたけどこういうことか。
R1省略してみた。R1に流れる電流がなくなってベースに行き、Reの電圧降下の影響が増えてエミッタ電圧上昇、動作点を外してたんでR2を調整後の出力波形。
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次に交流について、こちらは目的なくIsとIbの関係を調べる。
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直流電圧は削除できる。またトランジスタのVbeは変化しない(と考える)ので削除。Cs, Ceは抵抗とみなし、また合成抵抗R1R2/(R1+R2)=R、その合成抵抗に流れる電流をIと書くと、
Is=(Vs-Vb)/Cs
I=Vb/R
Ib=Vb/Ce
Is-I=Ib
Cs, R, Ceは全て定数Vsも定数。これらより
Vb=IR=CeIb
I=Is-Ib
(Is-Ib)R=CeIb
(Ce+R)Ib=IsR
Ib=IsR/(Ce+R)
Ceは極く小さいのでIbはIsよりも僅かに小さくなる。
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なぜこれを調べたかと言うと、Ceの存在を忘れていてここがReになると、直流と同じようなゲインの考え方でクローズドループゲインが1/10くらいになるIb=0.1Is。これでめっちゃくちゃ悩んで2日くらいうがーってなってたから。おかげでだいぶ理解は進んだんじゃないかなと思う。今回の教訓:

  • 直流と交流は分けて考える
  • 等価回路を別々に書いて単純化する
  • 交流等価回路のコンデンサは無視できるとは限らない。抵抗に置き換える(それでも駄目なら複素数
  • 回路シミュレーションが計算と合わない場合は式を一つ一つシミュレーション結果と照らし合わせ、結果が計算通りになってない式を探す


まだ回路設計になれてないんで例えばある値が予想よりも100倍大きかった場合それが異常なのか、あるいはそういう場合もあるのかわからないことが多い。まずは計算の定石のみで対処し、考えすぎないで慣れることを優先した方がいいかな。


参考リンク:
トランジスタ等価回路の作り方・書き方【小信号や増幅回路の等価回路】
エミッタ帰還(電流帰還)バイアス回路
負帰還回路の考え方(電圧帰還・直列注入形の例)
9 負帰還
電流帰還バイアス回路の動作原理と設計方法の解説 | 研究開発 | 相楽製作所
バイアス回路の実際